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@chokomegusuri@fedibird.com

2026-06-27 13:44 UTC

各々の認知症患者の最も幸福だったと感じる過去を五感にも訴えつつディテールこだわり再現し治療することを目的とした謎めいたガウスティンが開設した箱庭的な【過去のためのクリニック】。 やがて認知症の患者のみならず、各国全体が【古き良き時代】の郷愁を求め始め、それぞれの国が国民投票でどこにも存在しない【輝かしい過去】だったとされる年代に回帰することに。しかし安全に行われていたはずの歴史上の重大な出来事をも再現するうち帰結は再度不穏な時代が訪れあやまち繰り返すこと示唆し、記憶を失いつつあった主人公もまた忘却の彼方へ消え失せ終わる、ブルガリア作家のブッカー賞受賞作。 とても良かった。 読んで即「グッバイレーニン」と「オスタルギー(Ost(ドイツ語で東という意味)、Nostalgie(郷愁を意味)を合わせた造語)」を思い出した。 【輝かしい過去】の国民投票はヨーロッパ全体に波及するけど、80年代の旧共産圏が瓦解し民主化への希望と失望が現在噴出、弾圧や、秘密警察による政治犯への拷問、収容所の過酷な抑留の記憶覆い隠すほどどこにも存在しない【輝かしい過去】を求めるのは必然という苦々しさが伝わってくる…。 #読書 #読了 #マストドン読書部

Replies (1)

  • @chokomegusuri@fedibird.com 2026-06-27 13:46

    とはいえ、重い雰囲気一点張りの内容ではなく、元東京外国語大学講師で、当地のことも、ブルガリアが民主化へ移行する激動の時代に現地でフィールドワークされていて本も出されている翻訳者さんが原語から邦訳した、今では翻訳ではなかなか使われない言葉で訳されているのもあり、このくらいの御年の方の翻訳からでしか得られない滋味と味わいの語り口と相俟った、所々にあるユーモラスな感じがとても良い。 英国では挨拶代わりに天気について話すけど、ブルガリアでは愚痴をこぼし合うとか、よく知らないブルガリアの文化や歴史、食べ物なども出てきて興味深かった。 あらすじからでは推し量れない面白さがあってオススメです。私の感想よりもブルガリアに精通した翻訳者さんのあとがきを読むのがいちばんわかりやすい解説になっているので、そちらを読んでください。 早川書房、マイナーな原語なのに原語から翻訳してくださって本当に感謝!!! あと、同じ作者の数々の文学賞受賞した二作目「悲しみの物理学」も邦訳予定だそうで楽しみ!!! #読書 #読了 #マストドン読書部

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