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@yoppy3954@live-theater.net

2026-08-08 10:33 UTC

かぐや姫SS「求婚者たちへの新たなる難題」 竹取の翁に育てられたかぐや姫は、美しさで京の都を騒がせていた。五人の貴公子たちが求婚に訪れたその日、姫はいつものように優美に微笑み、扇で口元を隠しながら言った。 「わらわの心を得るには、ただ一つの物を持って参れ」 貴公子たちは一斉に身を乗り出す。姫はゆっくりと続けた。 「冷房がよく効いて、故障せぬドイツ車を持ってくることじゃ」 一瞬、広間が凍りついた。 「……ドイツ車、でござるか?」 「冷房がよく効いて……故障せぬ、と?」 「これはまた、かなり具体的な」 姫は涼しい顔で扇をぱちりと閉じた。 「近頃の夏は異常に暑い。わらわは竹の中から出てきたばかりゆえ、暑さに弱いのじゃ。しかも、都の道は石畳でデコボコ。国産の車など、すぐさまエアコンが止まると聞く。ドイツ車は頑丈で、冷房が最後まで効くと聞いた。故障せぬものに限る。それ以外は無用」 第一の求婚者は慌ててドイツへ飛んだ。メルセデスを買い、船で運ぼうとしたが、途中でエンジンが止まってしまった。 第二の求婚者はBMWを選んだ。到着した瞬間、冷房が「ガリガリ」と異音を立て、結局効かなくなった。 第三の求婚者はアウディ。順調に思えたが、都の熱いアスファルトで過熱し、故障灯が点灯。 第四の求婚者はポルシェ。スポーツカーゆえ冷房が弱く、姫の前で汗だくになって失格。 最後の第五の求婚者だけが、最新のメルセデス・ベンツSクラスを慎重に選び、徹底的に点検を重ねて運んできた。車内は極寒の如く冷え、エンジンも静か。故障の気配など微塵もない。 かぐや姫は窓を開け、冷たい風に頬を撫でられながら、満足げに頷いた。 「ふむ……よく効いておる。故障もしておらぬ。見事じゃ」 貴公子は膝をついて喜んだ。しかし姫は淡々と付け加えた。 「ただし、わらわは月へ帰る身。車など、地上に置いてゆく。せいぜいお前たちが使え」 こうして貴公子は、冷房の効いたドイツ車だけを手に入れ、かぐや姫は静かに月を見上げた。 ——そしてその夏、京の都では「故障せぬドイツ車」が最高のステータスとなったという。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

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